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「週休3日制」の導入は企業や人にどんな影響を与えるか?

ファンタジーなバッグとビーチ

最近、「週休3日制」の記事をよく見かけます。
「働き方改革」の一連の流れで多様な働き方を模索する中で、育児・介護と仕事の両立や地方での兼業を促進する狙いがあるようです。
コロナ禍でのテレワークの増大により働き方を見直す機運が高まっていることも背景にあります。


今回は、「週休3日制」の導入が企業やそこで働く人にどのような影響を与えるのか、について考えてみたいと思います。

「週休3日制」には3つのパターンがある

ひとりオフィス
一口に週休3日制と言っても、いくつかのパターンがあります。
大きく3つに分かれますので、それらを一つずつ説明します。

なお、話を単純化するため、現状の週あたりの労働時間は8時間 x 5日=40H、仕事量は40L、報酬は40Yとします。よって、時間あたりの労働生産性は40L÷40H=1H、時間あたりの報酬は40Y÷40H=1Yとなります。

パターン1:労働時間、仕事量、報酬を全て現行の80%にする

コロナの影響で需要が大きく減少し、それに比して業務量を減らさざるを得なくなったが何とか雇用は維持したい、という企業で採用されています。
このケースでは、時間あたりの生産性も時間あたりの報酬も変わりません。一見合理的にも見えますが一番の問題は、働く人の収入が単純に従前の8割になってしまうことです。それまでの収入を維持するためには、週1日、副業など他の仕事で補填する必要があります。

副業で稼ぎたいと考える人にとっては良い制度かもしれませんが、一般の労働者にとってはどうでしょうか?20%の収入減を素直に受け入れるのは簡単ではないです。

パターン2:週の労働時間を変えず労働日あたりの労働時間でやりくりする

これは週の労働時間である40時間は変更せず、増えた週休日1日の労働時間(8時間)を他の労働日に振り分けるというものです。1日あたりの平均労働時間は8時間(5日間)から10時間(4日間)に増えます。
仕事量と報酬は変わらないため、労働生産性と時間あたり報酬も変わりません。
育児や介護などのプライベートな時間により費やしたい人や週休日に副業などで収入を増やしたい方にはもってこいの制度です。

一方で就労日あたりの労働時間が増えますので、労働過多にならないように注意が必要です。

パターン3:仕事量と報酬を変えず労働日を減らす

最後のパターンは、仕事量と報酬を変えずに週の労働日を1日減らすやり方です。
いわゆる「時短」に近い考え方で、働く人にとっては時間あたりの報酬が増えることになり実質的な賃上げとなります(40Y÷32H=1.25で25%の時給アップ)。
一方で、仕事量が変わらず労働時間が減るわけですから、労働生産性を上げる必要があります(40L÷32H=1.25なので25%生産を上げなければならない)。働く人は短い時間で効率的に成果を出す工夫が求められます。ダラダラと時間をかけることはできなくなります。

常に労働生産性を高めることを頭において仕事をする人にとっては、プライベートの時間が増えることでさらに別の能力を高めたり趣味に使ったりすることができますので、生活の充実につながります。

「週休3日制」は企業や労働者にどのような影響を与えるのか

家族3人ビーチで遊ぶ
「週休3日制」が導入されると、企業やそこで働く人にどのような影響を与えるのでしょうか?
また、どのような点に注意すべきでしょう。

企業は導入の目的を明確に示す

企業は「週休3日制」導入の目的を明確に示さなければなりません。
プライベート時間を増やすことによるワーク・ライフ・バランスの充実を図るのか、先を見据えた学び直しの時間を提供するのか、副業の機会を与えるのか等々です。

先述のパターン3では、労働生産性の向上を社員により強く認識させる必要もあるでしょう。
また、決まった曜日を週休日にするのではなく土日以外に休める日を選択できるようにするとともに、社員それぞれがバラバラに休むことにより組織としての生産性が下がらないような制度設計が必要となります。

働く人はプラス1日の休日をどう使うかを考える

多くの場合、「週休3日制」は会社の主導のもとに導入されます。
働く人はその制度に対応していくほかありません。

もし週休日が1日増えたら何をするのかを、前もって考えておくのも良いかもしれません。
土日の前後にくっつけて3連休にすることにより遠出の旅行もできますし、ボランティアや副業なども時間に余裕を持ってできるでしょう。育児や介護により時間をかけたり、将来を見据えて腰を据えて何かを学ぶのも一考です。

自分の人生が充実したものとなるよう、前向きに考え有効に使いたいものです。

さいごに

配信している人
先ほどのパターン1では何もしなければ収入が減るという問題に直面します。
しかし、今の時代はネットを使って趣味や一芸で稼げる時代です。
「自分は何ができるのか」「自分は何がしたいのか」
を考え、人生の棚卸しをしてみるよい機会かもしれません。


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