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もう一度「テレワーク」という働き方について考えてみた

自宅のソファで仕事をする人

少し前のブログでテレワークのことを述べました。
(参照:「テレワーク」という働き方について考えてみた)

その後、日経新聞などでも特集が組まれたりと俄然注目を集めています。
緊急事態宣言が発出されている中で出社7割減が提唱されていますが、様々な課題もあり思ったように進んでいないことも背景にあります。


今回は、論点をいくつかに整理した上で課題の抽出とその解決の方向性について語ります。

労働時間の課題

テレワークでのリモート会議
テレワークの実態を探るといくつかの論点が出てきます。
ここでは労働時間における課題について述べます。

仕事とプライベートの狭間で噴出した問題

特に在宅で仕事を行う場合、「仕事とプライベートの区別がつきにくい」という問題が噴出しました。
「何時から何時までが就業時間なのか」があいまいになり、明らかに就業時間外でも対応しなくてはならないという事象も見えています(これは日本に留まらず他国でも見られる事象であることは、別のブログで述べた記憶があります)。

これは、労働基準法に起因する点があり、働いた時間に対して賃金を支払うという原理原則によって起きた問題です。

労働基準法という法律

1947年に施行した労働基準法は、職場で働いた時間に応じた賃金を支払うのが大原則です。工場労働をベースにしており、労働時間と仕事の成果が比例するという発想に基づいています。

例えば、9:00~18:00が就業時間(休憩1時間)であれば1日の労働時間は8時間となり、8時間分の賃金が支払われるという制度です。最近では始業と終業の時間を決めないフレックスタイム制を採用する会社も増えていますが、この場合も1日の平均労働時間は変わりません。

極論すれば、成果が上がっているいないに関わらず働いた時間だけは必ずお給料がもらえるという制度なのです。

テレワークでは残業を認めていない企業もある

オフィスに出社していれば、そこにいる時間(始業、終業の前後で仕事をしていない時間はありますが)が就業時間であり、所定労働時間を超えた部分は残業ということで割増賃金をもらえます。
なぜ、テレワークでは残業を認めていない企業が存在するのでしょうか?

労働時間は「企業の指揮命令下に置かれている時間」を指すと法律には定められています。残業は従業員が自分の判断のみで行うことはできず上司の事前承認が必要となります。オフィスのような感覚で上司に残業を申請しにくいという事情があるようです。

お互いすぐそばにいるオフィスと違い、上司は部下の勤務態度が観察できず相互不信から監視しすぎることによる「リモハラ(リモートハラスメント)」という言葉も生まれています。
上司が部下に対して「ちゃんと働いているのか」という不信感を持っている限り残業を認めることは難しいと思われます。

労働時間に関する課題の解決の方向性

自宅のベッドで仕事をする人
テレワークにおける上述の労働時間の課題に対する解決の方向性について、どのように考えればよいのでしょうか?

裁量労働制の採用拡大

現在は業務が限定されていますが、実際に働いた時間でなく、あらかじめ労使で決めた「みなし労働時間」を基に賃金を支払う裁量労働制の対象業務範囲を拡大し、残業の概念をなくすことが考えられます。

実際に、私の前職では多くの事務職を対象に企画業務型裁量労働制を採用していました。上司は部下の通常の労働時間の管理を行う必要がなくなり、コロナ以前から在宅勤務を取り入れやすい環境にありました(注:この場合でも上司による部下の「働きすぎ」のチェックは必ず行われなければなりません)。
部下の自主性を重んじると同時に頻繁に1on1ミーティングを行って、コーチングなどの手法を使い上司は部下の支援を行っていました。

上司と部下の間に深い信頼関係を築く

裁量労働制を採用しないとしても、まずは上司は必要以上に部下の労働時間を管理しないことです。
性善説に立ち部下を信用し、ある程度自主性に任せてみるのです。

そのためには上述のような部下とのより深いコミュニケーションが欠かせません。
この場合も「ちゃんと時間通り働いているか」をチェックするのではなく、いかに部下が成果を上げられるか、そのための支援を行うということです。


部下は必要以上の干渉を望んでいませんが、一方で遠隔での仕事に孤独感を感じることもあると思います。
部下のモチベーションアップのため、上司からの前向きで積極的な支援が求められます。

さいごに

自宅でテレワーク中にくつろぐ
テレワークは多くの日本企業が生産性を上げていくための切り札になり得ます。
しかし、現在の法律や制度を温存したままだと、このブログで述べたような課題は解決できません。
法律はともかく企業でもできる限りの制度改正を行い、多くの人が働きやすく成果を上げやすい環境を作っていただけることを願っております。

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