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「テレワーク」という働き方について考えてみた

ソファとパソコンでテレワーク

コロナ禍で3度目の緊急事態宣言が発出されました。
政府は出勤者数の7割減を目標に、企業にテレワーク導入(+時差出勤など)を呼びかけていますが、日本生産性本部の調査では、テレワークの実施率は2020年の第1回目の緊急事態宣言発出時こそ30%を超えましたが、2020年7月以降は2割前後で推移し頭打ち感があります。


「テレワーク」という働き方については色々考えることがありますが、思ったより進んでいないという印象を持っています。まずは実態を見ながらそのあたりの背景を探ってみたいと思います。

「テレワーク」の実態を探る

COVID19の情報を得る
3度目の緊急事態宣言発出後の、東京や大阪のターミナル駅の様子がよく映し出されていますが、人流はあまり減っていないようです。
「コロナ慣れしてしまっている」「危機感が欠如している」と言ってしまえばおしまいですが、何か根本的な問題がありそうです。

そこで、テレワークについて少し実態を掘り下げてみたいと思います。

そもそも「テレワーク」とは何か

目線を合わせるために、まずは「テレワーク」の定義らしき事を考えてみます。

「テレワーク」とはオフィスに出勤せずに自宅など(注:在宅勤務だけを指すのではない)で仕事をする勤務スタイルのことです。人同士の接触を避けられるため、新型コロナウイルスの感染拡大防止策として政府が企業に導入を促しています。社員が集えるサテライトオフィスを用意したり、外部のシェアオフィスを活用する企業も増えています。通勤・移動時間の削減から労働生産性を高められるとの期待もあります(日経新聞の「今日のことば」より)。

「ふむふむ」と一見異論はなく納得するのですが、一方で業種や業態、企業規模によって受け取り方は違うのではないかと思ってしまいます。
私自身、以前は比較的大手の製造業で事務方の内勤の仕事をしていましたので、どうしてもその目線でのみ、ものを考えがちであることに注意しなくてはなりません。

テレワーク導入率には業種や業態、企業規模によって濃淡がある

実際にテレワークの導入率には、業種や業態、企業規模によってかなりの違いがあります。
パーソル総合研究所の調査では、情報通信業の実施率が55.7%と高い一方、エッセンシャルワーカーが多い医療、介護、福祉は4.3%、運輸業、郵便業は11.3%にとどまっています。
また従業員1万人以上の大企業では45%が実施しているが、100人未満の中小企業は13.1%と少なく、企業規模によっても大きな差があります。

製造業や建設業の現場では、これはもうどうしようもなくテレワークは困難(ロボットなどが人に変わって作業すれば操作はテレワークでできますが人の仕事がなくなるという別の問題が発生します)ですし、対面での接客がマストであるリアルの小売店舗や飲食店なども同様です。
これらの業種は人の働き方を変えるのではなく、ビジネスそのものを非対面に転換しないと解決しないでしょう。

最も気になったのは、中小企業での導入率の低さ

業種や業態によるテレワーク導入率の違いについては理解できたとして、気になったのが中小企業での導入率の低さです。
中小企業でもIT系のスタートアップでは、業種として高い導入率がある情報通信業ということもあり積極的に導入しているようですが、他業種ではまだまだ低いままなのでしょうか?

前述のパーソル総合研究所の同じ調査で「テレワークをしていない理由」を聴いています。
これによると、「テレワークを行える業務ではない」が最も多く45.1%、次に「テレワーク制度が整備されていない」が37.4%で続きます。「テレワークのためのICT環境が整備されていない」が3番目に多い理由ですが、13.1%と数字はさほど高くありません(注:このデータは中小企業だけではなく大企業も含んでいます)。

「テレワークを行える業務ではない」という理由は企業規模に関わらず業務の違いからくるものですので、ポイントは「テレワーク制度そのものの未整備」にありそうです。仮説としてあった「情報通信環境の未整備」は相対的に大きな問題とはなっていないようです。

テレワーク導入の意義を考え制度を整備する

パソコンとモニターでテレワークする
テレワークがコロナ禍による人流の削減のみを目的に導入されているとしたら、長続きはせずアフターコロナには元に戻るでしょう。

特に中小企業ではテレワークのメリットや意義を十分に享受できていないと考えているため、デメリット面のみが強調された結果、導入に消極的になり社員にもその意義が伝わらないままの状態と思われます。

この章では、テレワーク導入のメリットと意義を考えます。

企業はテレワーク導入の目的や意義を明確に示す

企業はテレワーク導入の目的や意義を明確に示さなければなりません。中小企業であれば社長自らが推進することになります。

職住近接によるワーク・ライフ・バランスの充実、通勤や移動時間の減少によるストレスの軽減と労働生産性の向上、業務の見直しや削減、デジタル化などによる業務効率化等々が考えられます。

これらは会社が社員に押し付けるのではなく、社員がメリットを享受し腹落ちした上ですすめることが重要です。

テレワーク制度の整備を行う

次に、テレワーク導入の際に日々のオペレーションをどのようにするかといった、制度の整備が必要となります。

どの業務を対象とするのか、どのような時は出社勤務するのか、社内外のコミュニケーションをどう取るか等々です。
同時にICT環境の整備も行い、Zoomなどのビデオ会議システムやSlackなどのチャット会話アプリを導入したりします。

制度は一度決めたり終わりではなく、導入後成果を確認しながら必要に応じて改善していきます。

さいごに

フリーランサーがテレワーク中
前述の調査によると、テレワーク実施者(正社員)のコロナ収束後のテレワーク継続希望率は、全体で78.6%と非常に高くなっています。多くの人がテレワークのメリットを享受していると言えます。

企業として、人事面では「管理」から「支援」へマインドセットを転換することにより、社員の自立を促し自走できる組織を作ることに寄与するテレワークの導入は、進めていくべきであると考えます。

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