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「働き方改革」は海外でも必要!?

work hard

「ある証券会社の新人アナリスト13人が経営陣に長時間労働の実態を訴えた」という記事が日経新聞に掲載されていました。
「いったいどういうブラック企業なんだ?」と注目して読んでみたところ、それは日本の企業ではなく、世界的にも著名な会社であるアメリカのゴールドマン・サックス社でした。
どうやら、海外でも「働き方改革」が必要な会社はあるようです。

「働きすぎ」は日本企業の専売特許ではなかったのか?

過重労働で疲れる
ここ数年、日本では「良好なワーク・ライフ・バランス」が求められ、「働き方改革」の機運が国を挙げて一気に盛り上がってきました。

過重労働による過労死、労災の問題は跡を絶たず、「ブラック企業」という言葉もかなり一般化してきたように思います。かのように労働環境の改善は長年に渡り日本企業の課題として存在してきたわけです。
「働き方改革」の取り組みにより、積年の課題の解決にようやく踏み出したというところでしょう。

しかし、この状況は日本のみならず海外でも同様のようです。

新人アナリストが長時間労働を訴えた!

米ゴールドマン・サックス社の新人アナリスト13人が経営陣に長時間労働の実態を訴えたそうです。
この訴えに対し人々の意見は割れ、「自分は週95時間働いた。何を甘えているのか」という人もいれば、長時間労働は一種の新人いじめであり、優秀な人財を確保するには業化の風土を変える必要があると主張する人もいます。

この会社のトップは土曜勤務のを禁じた社内規定の徹底を約束すると同時に「たとえ限界を感じても、顧客のためにもうひと踏ん張りする」ように求めたとのことです。

このような根性論的なコメントを発するのは、私のような昭和の薫りを残す日本企業の古い人達だけかと思っていましたので、ちょっとびっくりです。

コロナで過重労働が顕在化した

元々、投資銀行などの金融機関や法律事務所はブラックな職場でした(注:この記事はFinancial Timesの翻訳記事ですが日本語訳では確かに「ブラック」と記されていました)。

この状況が新型コロナで悪化したようです。在宅勤務が長引く中、オンとオフの境界があいまいになり過重労働がより顕在化したのです。

このような状況にミレニアル世代やZ世代は臆することなく上司に異議申し立てをすることにより、対立は先鋭化しているようです。若手であっても物申す姿勢は日本企業とは少し違う点かもしれません。

コミュニケーションの課題は万国共通

新入社員にOJT的に現場で仕事を教える企業は在宅勤務との相性が最悪です。
新人の多くはリアルで直属の上司と会ったことすらありません。若手社員は帰属意識が希薄になり、上司も部下の悩みに気づきにくくなります。

この問題は日本でも頻繁に議論されていますが、コロナ禍での上司と部下のコミュニケーション不足の課題は万国共通なのだと認識した次第です。

この状況を変える企業のアクションは何か

在宅勤務中の女性社員
では、このような状況を打破するために企業が取るべきアクションは何でしょう?

オフィス勤務の復活

ゴールドマン・サックス社のトップを始めとする銀行の幹部はオフィス勤務の再開を後押ししている、と記事にありました。

私の前回のブログでも述べたように、リアルの場でのコミュニケーションの目的や意義を明確にし、社員のモチベーションを上げることは重要です。リアルとバーチャルの賢い使い分けが成功の鍵となります。

若手の業務量を見直し必要に応じて増員する

現社員の一人あたりの業務量を減らして同じ成果が出ればベストですが、そううまくはなかなかいきません。
業務量の総量を減らすことが難しいのであれば、増員することによって一人あたりの業務量を減らす事が考えられます。
増員することは人件費の増となりますので、それに見合う売上と利益のオントップが保証されるべきなのですが、まずは一人あたり業務量の負荷を減らすことが優先されるということです。

ある米中堅投資銀行の事例

記事では、米中堅投資銀行ジェフリーズの事例が紹介されています。
この会社では20年3月に最高財務責任者がコロナの合併症で死亡して以来、心身の健康と働きすぎの問題に取り組んできました。

若干名のアナリストを追加採用し、今年採用のアナリストも4割ほど増やすそうです。
また、社員が自宅でフィットネスができる動画サービスなどの健康支援策から好きなものを選べる制度を導入しました。

この会社の人事担当者は「様々な取り組みを通じて、社員がこれらのサービスを使う時間を持てるようにする(=適切なワーク・ライフ・バランスを保つ)ことが最終目標」と話しているとのことです。
いかに良いサービスを提供していても過重労働で使う時間がなければ本末転倒ですから、ごもっともなコメントです。

さいごに

ワークライフバランスを取る
「オンとオフの切り替えがうまいのが欧米人である」という認識を持っていましたが、コロナによる在宅勤務の増加によってストレスフルな状況に陥っているのは少し意外でした。

日本では在宅勤務の増加を契機にして、逆にワークとライフを融合させていこうという動きが見られるのは面白いですね。ワーケーションなどのコンセプトは海外でも通用するのでしょうか?

いずれにしても、コロナによって働き方や生き方の新しい方策を模索し始めているのは確かなようです。

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