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人の潜在能力を引き出しパフォーマンスを上げる「コーチング」とは何か?-その4

coaching & training

New Normal(新常態)と言われる中で、テレワークが増え社内コミュニケーションは困難さを増しています。今まで以上に社員の自立が求められる時代、「コーチング」を使い社員の潜在能力を発揮させパフォーマンス向上につなげましょう。

世界的にも通用する「LDVコーチングメソッド」によるコーチングの方法を伝授します。今日は5回シリーズの4回目です。

LDVコーチングメソッドの基本コンセプト

LDVコーチングメソッドコンセプト図
過去3回のブログでも紹介しました「LDVコーチングメソッド」の基本コンセプト(全体像)です。このメソッドは、私が前職ネスレ日本(株)でコーチングマスタートレーナーとして社員向けに行っていたトレーニングプログラムを基に、新たに開発されたものです。

LDVとは「リーダーシップ・ディベロップメント」のことで、管理職やリーダー職のみならずコーチーである社員を含め、全社的なリーダーシップの醸成に役立ちたいとの思いから命名しました。

1.2つの土台:信頼関係、コーチングの心構え
2.3つの役割:教える、導く、支援する
3.4つのスキル:傾聴、質問、挑戦、フィードバック
4.GRROWプロセス:目標→現状→対策→行動する意志

過去3回のブログでは、「3.4つのスキル」の「傾聴、質問」までお話ししましたので、今回は4つのスキルの後半である「挑戦、フィードバック」の説明をします。
注)*コーチングをする人=コーチ、コーチングを受ける人=コーチーと呼びます。

4つのスキル:傾聴、質問、挑戦、フィードバック(続き)

壁登りに挑戦する女性
ここまで4つのスキルのうち傾聴のスキルと質問のスキルを説明してきましたが、これら2つのスキルがLDVコーチングの基本スキルとすれば、これから説明する挑戦のスキルとフィードバックスキルはコーチング会話により深みを持たせるスキルと言えます。

これらのスキルはそれぞれ独立したスキルですが、全てを複合させることによりコーチングの効果は増幅します。
つまり、
1.しっかりと傾聴し
2.効果的な質問を行い
3.ストレッチな範囲に挑戦を促し
4.適切な方法でフィードバックを行う

ということです。

4つのスキル3:挑戦

傾聴や質問のスキルに比べ、他のコーチング手法ではあまり登場しないスキルです。
コーチーの潜在能力を引き出しパフォーマンスを向上させるためにコーチングは行われますが、パフォーマンスのレベルをさらに引き上げ、より高い成果を出すためのスキルが「挑戦」です。これによりコーチーの成長を促すことができ、結果として組織も成長することができます。

少し頑張らないと達成できない目標に向かってコーチーを鼓舞すること。そしてよい良い成果に向かって視野を広げてあげること。
これがコーチングにおける挑戦です。

業務は達成困難度で3つの範囲に分けられる

個人の能力と業務の難易度の掛け合わせによって、以下の3つの業務分野に分けられます。
・快適な範囲(コンフォートゾーン)
この分野の業務は、その人の現在持っている能力を持ってすればさほど努力することなくこなせるものです。確実に成果が出せますしその人にとっては快適で安全な業務分野ですが、成長することはできません。

・ストレッチな範囲(ストレッチゾーン)
ストレッチとは「伸びる」「伸縮する」という意味です。この分野の業務で成果を出すには、少し背伸びをして今持っている能力よりやや高めの力を発揮せねばなりません。

業務経験が浅いにもかかわらずいきなりプロジェクトリーダーを拝命されたことを想像してみてください。リーダーシップという能力を少し余計に発揮せざるを得ません。今以上に努力も必要ですしプレッシャーもかかるでしょう。しかし、ここで成果を出すことができれば、その人は確実に成長し能力のレベルが1段階上がったことになります。

・ストレスフルな範囲(ストレスゾーン)
ストレッチな範囲を超えてさらに高い目標達成を目指すことはどうでしょうか?その目標が達成不可能なほど高ければ、逆に心身を衰弱したり事故やミスが発生したりします。上司の部下に対するコミュニケーションの取り方によってパワハラ問題が起きることもあるでしょう。

挑戦のスキルを使いストレッチな範囲に導く

コーチングにおける挑戦とは、コーチーをストレッチな範囲に導きより高い成果を出し成長を促すためのスキルなのです。

では、どのようにしてコーチング会話の中で挑戦を促せばよいのでしょうか。
ここでは前回学んだ質問のスキルを応用します。
「もし、130%の目標を目指すとすればゴールはどうなるかな?」
「以下の計画の半分の期間で完成するにはどうすれば良いだろう?」
「来月と言わず、明日からできるアクションは何?」
コーチーに少し努力が必要なアクションを考えさせ、自らストレッチな範囲に踏み込むように仕掛けることがポイントです。
この時、くれぐれもストレスフルな範囲に導かないように注意してください。

4つのスキル4:フィードバック

最後のスキルは「フィードバック」です。
コーチングに限らずあらゆる場面でフィードバックする機会はありますが、コーチングにおけるフィードバックで心がけることは一つ、
「コーチとコーチーは対等な立場で会話する」
ということです。

たとえ上司から部下へ、あるいは先輩から後輩へフィードバックする際も、決して上から目線で行ってはなりません。
質問のスキルの項で述べたのと同様に、
「好奇心と尊敬の念を持ってフィードバックする」
ことが大切です。

具体的な方法は以下の通りです。
・認める
・良いところを先に伝え、後でさらに良くするための啓発点を伝える
・伝聞ではなく事実を伝える
・I(アイ)メッセージを使う
・できる限りヒトではなくコトに焦点をあてる
・コーチーが自主的に次のアクションを取れるように終わる

相手を認め自主的なアクションを促す

例として、目標未達の部下に対しフィードバックを行うことを想定してみましょう。
「何でお前は目標未達なんだ!」
といいたいところをグっとこらえ、
「目標達成向かって〇〇をよくしてくれた」
とまずはできたことを認めた上で、
「あなたが目標未達に終わったことを私はとても残念に思う」
とI(アイ)メッセージで伝え、
「次年度目標達成のために新たにどんなアクションを取ったらいいだろうか?」
と相手が自主的にアクションを取れるように促しフィードバックを締めます。

通常のフィードバックとコーチングのフィードバック

通常行うフィードバックとコーチングスキルとしてのフィードバックの違いは何でしょう?
「対等な立場で会話を行う」
「相手(コーチー)を認める」
こともそうですが、最も大きな違いは、
「相手(コーチー)自ら解決策を考え自主的なアクションに導く」
という点です。
通常のフィードバックであれば、コーチが解決策を示唆したり指示したりすることもありますが、ここでもコーチーの潜在能力を引き出すというLDVコーチングの考え方が貫かれています。

さいごに

Feedback
傾聴と質問のスキルはLDVコーチングの基本スキルであり、今日お伝えした挑戦とフィードバックのスキルはコーチング会話をより豊かにし、レベルを1段上げるスキルです。次回はコーチングシリーズの最後となります「GRROWプロセス」について説明します。

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