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人の潜在能力を引き出しパフォーマンスを上げる「コーチング」とは何か?-その3

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New Normal(新常態)と言われるウィズ・アフターコロナの世の中において、社員一人一人の潜在能力を引き出しパフォーマンスを上げるにはどうすればよいか?
「コーチング」はそのような課題を解決するコミュニケーション手法です。

世界的にも通用する「LDVコーチングメソッド」による具体的なコーチングの方法を伝授します。

LDVコーチングメソッドの基本コンセプト

LDVコーチングメソッドコンセプト図
前回のブログでも紹介しました「LDVコーチングメソッド」の基本コンセプト(全体像)です。

1.2つの土台:信頼関係、コーチングの心構え
2.3つの役割:教える、導く、支援する
3.4つのスキル:傾聴、質問、挑戦、フィードバック
4.GRROWプロセス:目標→現状→対策→行動する意志

前回お話ししました「1.2つの土台:信頼関係、コーチングの心構え」に引き続き、「2.3つの役割:教える、導く、支援する」に始まるコーチングの方法論について述べます。

3つの役割:教える、導く、支援する

コーチの役割
LDVコーチングのコーチ*は、相手(コーチー*)の仕事の経験の有無、深さ、持っている知識・スキルレベルによって役割を使い分けます。
コーチーの習熟度が上がるのに合わせてコーチの役割が変わるということであり、まとめると上記の表にようになります。

ここから、3つの役割について説明します。
*コーチングをする人=コーチ、コーチングを受ける人=コーチーと呼びます。

3つの役割1:教える

巷、コーチングの本などを見ますと、
「コーチングは教えることにあらず」
と書いているものも散見されます。

しかし、LDVコーチングでは教えることはコーチングの役割の一つと考えます。
それは何故なのでしょうか?

皆さんが新入社員の時、あるいは他部署に異動して全く新しい仕事に就く時を想像してみてください。
その業務に関する知識・スキルレベルがゼロの場合、誰でも最初は「教えてもらう」ことから始めないと「自分で考える」レベルにはいつまで経っても達することはできません。
この時点では、引き出すべき潜在能力も醸成されていないのです。

コーチの役割として、初期段階で「教える」 ことは必須と言えます。
しかし、ずっと教えてばかりではだめです。
教えるのはごくごく初期段階に留め、出来る限り早い段階で
「やらせてみせる」ことが重要です!

3つの役割2:導く

相手(コーチー)の知識・スキルレベルが上がって、自分である程度判断できる段階になれば、コーチの役割は「導く」に変化します。

コーチーの考えを傾聴し、必要に応じて的確な質問をすることにより、より良い成果がでるよう指導、アドバイスします。このあたりから本格的なコーチングスキルを活用したコミュニケーションが必要となります。
この役割のポイントはコーチーと伴走する感じで、一緒に考えることです。

3つの役割3:支援する

相手(コーチー)が経験を積み、さらに知識・スキルレベルが上がり、自走できる段階に達したら、コーチの役割は「支援する」に進化します。
コーチーの考えを尊重し、コーチーのやりたいことを実現できるよう背中を押してあげます。
この役割のポイントは、一歩下がって後方支援をすることです。

では、この3つ役割をどれくらいの割合で使い分けるべきなのでしょうか?
これはコーチーの成長曲線にもよりますが、
教える:10 導く:20 支援する:70
が一応の目安です。教え過ぎないことがポイントです。

4つのスキル:傾聴、質問、挑戦、フィードバック

質問を考える人
いよいよLDVコーチングでの会話でコーチが使う4つのスキルのお話をします。
今回は、そのうちの2つのスキル:傾聴と質問のスキルについてです。

4つのスキル1:傾聴

傾聴については、コーチング以外の会話においても重要な態度であることは認識している方も多いと思います。

「(耳を使って)きく」という漢字には「聞く」と「聴く」があります。
「聞く」のほうはどちらかというと受動的であり「聞こえている」とか「耳に入る」という意味合いのほうが強い感じがします。

対して「聴く」は能動的に意志を持って聴いているというニュアンスが伝わります。
「傾聴」の「聴」は能動的に意志を持って聴くことに間違いはありませんが、これに「傾」がつくということは、さらに相手に入り込んで聴くという強い意味になります。

英語では傾聴のことを「Active Listening(アクティブリスニング)」と言います。正に積極的に聴くということですね。傾聴をするためには、
①耳=聴いて情報を集めるためのもの
だけではなく
②目=行動や体の動きを観察するためのもの

③心=感情を察し、共感するためのもの
も同時に使わなければなりません。
また、
④相手に全神経を集中させ、
⑤相手を非常に大切に扱う
ことが重要です。

4つのスキル2:質問

4つのスキルの中で最も肝となるのがこの質問のスキルです。質問スキルの巧拙でコーチング会話がうまくいくか否かが決まると言っても過言ではありません。

とは言え、そんなに構える必要もありません。前回のブログの「土台:コーチングの心構え」の項でも述べたように、中立の立場で臨むことが重要です。
つまり、予見を入れず先入観を持たず現在に集中すること、そして心を開いて潜在能力を引き出す努力をすることです。

このあと、コーチング会話での質問をより効果的に行うための4つの方法をお教えします。

質問方法1:オープンな質問をする

質問には、クローズド質問とオープン質問の2つの種類があります。
クローズド質問とは、「はい」か「いいえ」のように答えが決まっている質問です。逆にオープン質問は答えが無数に存在します。

例えば、
「今日、朝食を食べましたか?」
という質問は「はい」か「いいえ」しか答えはないのでクローズド質問ですが、
「今日、朝食に何を食べましたか?」
という質問には答えが無数にありますので、この質問はオープン質問となります。

コーチングでは、コーチーの潜在能力を引き出すために発想や考えを広げていくことが重要ですので、出来るだけオープンな質問をするように心がけましょう。

質問方法2:コーチーの考えを誘発するような質問をする

このスキルはやや高等なスキルです。
例として、上司が部下に現在の業績推移について質問する場面があったとします。

通常であれば、
「今日現在の売上の進捗どうなっている?」
という質問をします。
この質問は情報探索が目的であればこれで成立するのですが、コーチング会話では相手=コーチーの考えを引き出すのが目的ですので、これでは不十分です。

「今日現在の売上の進捗についてあなたはどう思う?」
売上進捗の事実だけでなく、それについてどう考えているのかまで踏み込むのです。

このような質問をすることにより眠っていた潜在意識を呼び覚まします。

質問方法3:質問はシンプルにわかりやすく

言うまでもないことですが、質問はできるだけシンプルにしましょう。
長い質問より短い質問、そして一度に複数のことを訊かないように心がけてください。
一度の質問機会にあれもこれも訊くと質問の意図がぼやけてしまいます。
あわてることはありません。一つ一つじっくりと質問しましょう。

質問方法4:好奇心と尊敬の念を持って質問する

「何でこんなミスをしたんだ?!」
部下が業務で失敗した時、上司はついこのような質問をして部下を咎める場面があります。
このような場面でもコーチング会話としての質問のスキルを採り入れることにより、前向きな解決策につながることがあります。

まず、上司がコーチとして考えるべきことは
「どうして(部下は)こんなミスを犯したんだ?」
ではなく
「どうしてこんなミスが起きたのだろう?」
です。


ポイントは「ヒト」ではなく「コト」に焦点を当てることです。このようなネガティブな事象に対しても好奇心を持つことにより、失敗の本質を探り根本的な解決につながるのです。
「この失敗はどうして起こってしまったと思う?一緒に考えてみよう」
このような質問をすることにより、部下であるコーチーはより前向きに自ら解決策を考え実行することができます。

さいごに

コーチングを教えるコーチ
コーチングスキルの中でも「質問」のスキルは非常に重要ですのでよく理解していただきたいと思います。あと残り2つのスキル(挑戦とフィードバック)つきましては、次回のブログで説明します。

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