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人の潜在能力を引き出しパフォーマンスを上げる「コーチング」とは何か?-その1

コーチングをするマネジャー

「コーチング」は魔法のようなコミュニケーション手法です。
前々回のブログで「人が育つ環境を整える」ことの重要性をお話ししましたが、
この環境を整えるための手法の一つが「コーチング」なのです。
テレワークが増えてコミュニケーション不足にお悩みのあなたにピッタリのお話です。

多くの企業でコミュニケーションが取りづらくなっている

テレワーク中の社員
皆さん、こんにちは。
中小企業診断士の米本幸平です。

コロナの影響でテレワークを導入する企業が増えました。
皆さんの会社や皆さんご自身はいかがでしょうか?
テレワークによって
「仕事の生産性が上がった」
という声がある一方、
「コミュニケーションが取りづらくなった」
という声も聞かれます。

オフィスでは、普段から顔を合わせているためちょっとした相談事や打ち合わせもすぐに対応できたものが、テレワークではどうしてもワンクッション必要です。
チャットなどもありますが、さすがに対面でのコミュニケーションに比べたらその効果は下がります。

特に、上司と部下、リーダーとチームメンバーなど1on1のコミュニケーションの機会は、少し意識をしないと極端に少なくなってしまう危険性があります。
そうすると、上司と部下、リーダーとメンバー双方が不安となり業務効率が落ちかねません。

この1on1のコミュニケーションの機会をより効果的にするため、具体的には部下やメンバーの潜在能力を引き出し業務パフォーマンスの向上が期待できる「コーチング」と呼ばれるコミュニケーション手法を紹介します。

コーチングとは何か

コーチングで業績アップ
では、「コーチング」とはいったいどのようなものでしょうか?

「コーチ=馬車」が元々の意味である

コーチングは英語ではCoaching、Coach+ingですから「コーチする」という意味です。
では「コーチ」とは何か?
「コーチ」とは元々「馬車」を意味する言葉で、
「馬車で運ぶ=どこかへ導く」ことから転じて、
「指導、指導員(名詞)」や「勉強する/訓練する(自動詞)」
という意味になりました。

スポーツのコーチとビジネスのコーチ

最初に誤解なきよう、
特に日本ではスポーツのコーチのイメージが強く、
何かを“教える人”と捉えられがちですが、
ビジネス場面でのコーチは、
“教える”というより”導く”, “支援する”ウェイトが高くなります。

ビジネスコーチングの定義

ビジネスコーチングを定義すると以下のようになります。
「コーチーの目標達成を支援するための会話手法の一つ。コーチの質問に答える過程で、自ら考え、必要な気づきを促し、潜在能力を引き出したうえで、自主的な行動を支援すること。」
コーチ―と呼ばれる「コーチングを受ける人」自らが考え、自主的な行動を促す会話手法です。
*コーチングをする人=コーチ、コーチングを受ける人=コーチーと呼びます。

コーチングの特長

コーチングには5つの特長があります。
1.主体はコーチーにあります。
2.コーチとコーチーは対等で双方向のやり取りを行います。
3.一般的に一過性ではなく、継続的に行います。
4.コーチーが多角的に考え、気づきが得られるようコーチはスキルを用いて支援します。
5.一人一人の特長を理解した上で、多くの場合個別に対応します。
コーチ―を主体に対等で双方向のやり取りを行うことが最大の特長です。

なぜコーチングが必要なのか

労働人口の減少やAIやロボットの等の発達、DX(デジタルトランスフォーメーション)の隆盛等、人を取り巻く環境は驚くようなスピードで変化しています。
このような環境下、人が人としてしかできない業務に集約が進む中、その高度化が求められる時代が来るでしょう。

企業においても社員一人一人の業務遂行能力を向上させた結果、生産性が向上し組織力が強化され継続的な企業の発展につながります。
コーチングは社員の能力向上に必ず効果を発揮します。

コーチングのメリットを以下にまとめ、この章の終わりとします。
1.コーチーの潜在能力を引き出すことができます。
2.課題に対して自ら多角的に解決策を考えることができます。
3.コーチングのプロセスを他の問題解決にも応用できます。
4.自発的な行動を促すので、目標達成までのモチベーションが保たれます。
5.目標を達成した時の成功体験の価値が上がります。
6.コーチ、コーチー間の信頼関係が醸成されます。
7.個々の能力が上がることにより、組織力強化につながります。

いつでも、どこでも、誰とでもできる「LDVコーチングメソッド」の紹介

リーダーとチームメンバー
私は、前職ネスレ日本(株)で教育・研修の責任者として、全社的にコーチングを浸透させるべくマスタートレーナーとして数多くのトレーニングを展開してまいりました。

その時に教えていたものを基に開発したコーチング手法「LDV(エル・ディー・ヴィー)コーチングメソッド」を紹介します。
LDVとは「リーダーシップ・ディベロップメント」のことで、管理職やリーダー職のみならずコーチーである社員を含め、全社的なリーダーシップの醸成に役立ちたいとの思いから命名しました。

LDVコーチングメソッドの基本的考え方

LDVコーチングメソッドは、いつでも、どこでも、誰とでもコーチングができるように、あらゆる制約を取っ払ったことが大きな特徴です。

例えば、「コーチングは教えることにあらず」と唱えるかたもいらっしゃいますが、LDVコーチングでは「教える」こともコーチの役割の一つと捉え制限しません。

また、通常コーチングは管理職やリーダー職の役割であり、上位職から下位職に対して行うところが多いと思いますが、LDVコーチングでは、状況に応じて部下から上司へのコーチングあるいは社員同士のコーチングもありです。

さらに、多くの1on1ミーティングでは会議室などの別室で行われることが普通ですが、LDVコーチングの考え方は「全てのコミュニケーション機会がコーチングの場となり得る」ですので、自席でも休憩室でもちょっとした立ち話においてもコーチングは成立します。

制約を設けず、あらゆるコミュニケーションの機会を捉えて社員の能力向上に役立てよう、というのがLDVコーチングメソッドの基本的考え方です。

LDVコーチングメソッドの基本コンセプト

LDVコーチングメソッドコンセプト図
では、具体的にどのように行うのか。
これを以下のような4層のコンセプト図にまとめました。
1.2つの土台:信頼関係、コーチングの心構え
2.3つの役割:教える、導く、支援する
3.4つのスキル:傾聴、質問、挑戦、フィードバック
4.GRROWプロセス:目標→現状→対策→行動する意志

考え方やマインドセットを土台にして、3つの役割を担い4つのスキルを使いこなしながら、GRROWと呼ばれるプロセスでコーチングの会話を展開するということです。

さいごに

俺についてこいと叫ぶリーダー
LDVコーチングメソッドの進め方につきましては、上述のコンセプトに則り順を追って、次回のブログでより詳しく説明します。

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