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人財育成に思うこと-人が人を育てることができるのか?

育成に関するキーワード

皆さん、こんにちは。
中小企業診断士の米本幸平です。

いきなり皆さんに質問ですが、企業経営にあたり最も重要な経営資源とは何でしょうか?

ご存知のように「経営資源」とは一般的にヒト・モノ・カネ・情報の4つを指します。そして、それぞれの企業が置かれた経営環境によってその重要度は違ってきます。

しかし、「ヒト」の重要度は普遍的であり時代が変わろうとも最も重要な経営資源の一つであることに異論を挟む余地はありません。
如何に良い製品(モノ)を持っていたとしても、財務状況(カネ)が優れていたとしても、情報システムが確立されていたとしても、それを動かすのはヒトだからです。

私は前職ネスレ日本で人財育成の仕事に携わってきました。また、現在は研修・セミナー講師として各種企業様の人財育成のお手伝いをさせていただいています。
そこで今日は、人財育成についての思いをお話しします。

人財育成とは何か?

リーダーが人財を育成する

4つの「じんざい」が存在すると言われている

一般的に「じんざい」という字を漢字で書くと「人材」ですよね。昨今、ヒト=財産であるという考えの下、「人財」と書くケースも増えています。

諸説ありますが、「じんざい」には4つの種類があると言われています。
1. 人財:会社にとっての財産
2. 人材:会社にとっての労力
3. 人在:会社にとって存在するだけの人
4. 人罪:会社にマイナスの影響を及ぼす人

「人在」や「人罪」はかなり酷い表現ですが、企業内で「人在」や「人罪」がいたとしたら、「人材」そして「人財」にするべく努力が必要となります。

「人在」や「人罪」は本当に存在するのか?

では、「人在」や「人罪」は本当に存在するのでしょうか?
確かに多くの会社で「仕事が遅い」や「のみ込みが悪い」「仕事上のミスが多い」ことから成果が出せない=パフォーマンスが低い人(ローパフォーマー)がいます。
しかし、それは現在の業務に限っての話かもしれません。本人すら気がついていない秘めた能力を発揮できる場があるとしたら、最早「人在」や「人罪」ではあり得ません。

私は、全ての人は何かしらの能力を持っており、その大小はあるもののそれを発揮する環境を与えることによって「人財」になることができる、という信念があります。

人財育成の本当の意味とは

私は上記の信念に基づき「人在」や「人罪」は存在しない、と考えます。
そのような人でも能力を発揮できる環境を整えてあげれば、パフォーマンスは向上します。

もちろん一筋縄ではいきません。
環境を整えるのは会社ですが、会社というのは実体がない存在ですので厳密にいえばそこに所属する社員、具体的にはラインマネジャーや人事の人財育成責任者などが、その仕組みを作りそのような人たちに粘り強く働きかけねばなりません。

私にとっての人財育成の定義は以下の通りです。
「人が潜在的に持つ能力を最大限に発揮しパフォーマンスを向上させることができるよう、環境を整え仕組みを作り社員に働きかけること」

お気づきかどうか、私は「人財育成=人を育てること」とは言ってません。
今回の大命題である「人が人を育てることができるのか?」に対する自分なりの答えがこの定義には隠されています。

「人が育つ=自ら成長する」環境を整えるということ

部下の能力を引き出すリーダー

「他人と過去は変えられない、変えられるのは自分と未来だけ」

これはある識者の言葉です。多くの人は生まれてから入社するまでに約20年が経過しており、それまでにおおよその人格形成が完了し、性格など持って生まれたものは他人が変えることは難しいということです。

一方、「私はこの会社の〇〇を育てたんだ」とか「私は△△部長に育てられました」とかいう話をよく耳にします。しかし、本当に人が人を育てることができるのでしょうか?

「育てる」と「育成する」は意味が違う!

「親は子供を育てるではないか」
確かに子供は親に育てられます。「子供を育てる」とはいいますが「子供を育成する」とはいいませんよね。「育てる」は英語でNurtureと言い、「育成する」は英語でDevelopと言います。Developは元々「開発する」という意味です。そうです。人が持つ能力を開発するというのが「育成」の意味です。
人財を育成する=人を育てると解釈して使っていますが、子供を育てるのと社内人財を育成することは、意味が違うということがおわかりかと思います。

「人を育てるのではなく、自ら育つ=成長するための手助けをする」
件の人を育てた部長と育てられた部下のケースも、実は人が育つ環境を整えた部長とその環境下で自ら成長した部下がいた、ということになります。

人が自ら成長する環境を整えるために何をすべきか

手を上げて発言を使用とする社員

マネジャーが部下の潜在能力を引き出す

ここでは私自身の事例を紹介します。
私がマネジャーとしての任に就いていた時に、異動してきた部下がいました。

彼は経験を十分に積んだ中堅社員でしたが、新しい業務に関しては全くの未経験でした。私は早く部署のキーパーソンとして育ってもらいたく、やや厳しく指導しました。
しかし、私の理想とするパフォーマンスはなかなか発揮できませんでした。

ある時、彼は業務とは直接関係ないところであるタスクのリーダーに任命されました。そうしたところ、通常業務では見せない秘めた能力を発揮しそのタスクは大成功に終わりました。
彼の潜在能力を見抜けずそれを発揮できる場を与えることができなかったことは、マネジャーである私にとっては正に悔恨の極みでした。

「どのようにして潜在能力を引き出し高いパフォーマンスを発揮させるか」
このカギはコミュニケーションが握っています。私はのちに、潜在能力を引き出しパフォーマンスを上げるコミュニケ―ション手法である「コーチング」を学ぶことにより開眼しました。

チャレンジを奨励し失敗を許容する

人が自ら成長するには他律的であってはなりません。自律的に行動するには、現在の業務やタスクよりも少し上のものであってもこなせる胆力が必要です。

業務経験は少なくても思い切ってプロジェクトリーダーに任命して修羅場を体験させるというケースはよくありますよね。これぞ正しく「社員が自ら成長するための環境を整える」ことの好例です。

この時にマネジャーは失敗を恐れてはいけません。逆に「失敗してもいいから自分のやりたいことを実現するするために思いきりチャレンジしてこい!」と背中を押してください。リーダーに指名された部下は意気に感じて、こちらが想像する以上のアウトプットを出してくるでしょう。

さいごに

メンバーの能力を開発する
ウィズ/アフターコロナの現在、ビジネスの形態や働き方は凄いスピードで変わりつつあります。
このような時代に「管理する組織」から「相互の信頼関係をベースとした自律型組織」への変換が求められています。

マネジャークラスだけではなく全社員がリーダーシップを発揮できる組織は強い組織と言えます。
私はこれからも多くの会社で自律型社員が活躍できるよう、人財育成のお手伝いをしてまいります。